逃げるが勝ち

ついったーにもちょっと書きましたが、3歳児検診、おおむね穏便にすみました。ただ、過去に中耳炎に2度以上かかった子どもは強制的に耳鼻科にまわされるということで、まあこの機会に耳掃除をしてもらえればラッキーと思い、パンツ一丁にされた娘を連れて楽しい気分で入った耳鼻科の診察で。

「ちょっと。見えないよ」 いきなり不機嫌な声の先生。「見えないね。ぜんぜんわかんない。耳垢がいっぱいで」「(保育園から家で耳掃除をしないように勧められていることもあり、)そうですよねー。じゃ、家で掃除してもいいんですか?」「ダメダメ! こういうのはちゃんと病院で取ってもらわないと。家でやってもね、綿棒で押し込むだけなんだよ」「(ピンセットなんだけど……)わかりました。じゃあ小児科に行ったときに、」「は? なに言ってんの? 小児科で取れるわけないでしょう。ちゃんと専門の耳鼻科に行かないと」 ……って、じゃあお前はなんだよ! と、目の前の「言うだけでなにもしない専門医」に、ツレとふたり心中で同時につっこんだことでした。スペイン語で、Y tú qué?(イ・トゥ・ケ?)ね。

その後も先生、私たちがスペイン帰りやというてるのに、「アメリカとフィンランドでは専門医は一般医から紹介してもらうんだよ。フフン」と謎のトリヴィアルな知識を自慢げに開陳するなど(ちなみにスペインも同じ制度で、んなこと熟知してるし、そもそも文脈とまったく関係ない)、すごい「ブラックホール臭」がぷんぷんだったので、アホのふりしてそそくさと退室。人間、いちばん大事なのは逃げ足だっせ。

しかしこのタイプの先生って、某コンタクトレンズ店併設の眼科医以来だな。この先生は、「たまにぼやけるんですが」と軽い乱視のことを相談したら、診察するでもなくいきなり半笑いで、「それ、脳。脳外科行って診てもら……(語尾がいつも聞き取りづらい)」とのたまった。ツレも同じような目に遭っている。あまりにも面白いので、次回は、コンタクトの処方ではなくて、目の病気を診てもらいにいこうかと思っているところ。やっぱり「それはちゃんと専門医に診てもら……」と言われるんだろうな。

もちろん、大多数の医療従事者のみなさんは、とーっても素敵なひとたちですよ。検診のおじいちゃん先生も、最初からとてもあたたかく、そして最後には「よくがんばったね。はいあくしゅ」と娘にその柔らかで大きな手を出してくれて、こちらまでじいんときたものでした。

しかし、どうしようかしら耳かき。はてさて。思い切って家でもう一度してみたのだけど、本当に外側はもうきれいにしたし、それで内側に挑むと娘は「痛い」というし。昨年の一時帰国時にお世話になった諫早の名小児科・おの先生は、一瞬ですいすいっと取ってくれたのになあ。ほんと、口を動かす前に、手を動かしてほしいもんス。自戒も含めて。