大吉娘に鹿のフン

週末の3連休、初日は奈良へ行ってきました。私たちがスペインにいる10年のあいだに阪神近鉄がつながっていて、最寄の阪神の駅から乗ったらそのまま1時間10分後には近鉄奈良駅に着いちゃった。あらまー。むらがる鹿にニーニャが「ハウシュ!」(=ハウス)と、ツレの実家の犬に言うように命令しているのにげたげた笑い転げながら、一路東大寺へ。金剛力士像が睨みをきかす南大門はなんとか通過したものの、大仏殿に入って釈迦の御前に立つや「いやーっ!」と外に走り出すニーニャ。「怖い〜」とどうしても中に入らず、親は交互に大仏殿内へ。3歳は入場無料、ってことはつまりそういうことなのか、と変に納得。

翌日曜は、JRで3駅隣の西宮神社へ。この日が「えべっさん」の本えびす。ニーニャにちょいと縁日でも体験させちゃろと気軽に出かけたものの、なんとこの連休に100万人が詰めかけるというすごいスポットだった。そらもう、境内の100メートル以上前から、身動きできないくらいのひと、ひと、ひと。前後左右のひととは半時間ほどの道連れ。ツレの腕に抱かれて無心にフライドポテトを食べる娘に周囲のひとがあたたかな視線を送ってくれるたび、この数日で再び極度の恥ずかしがりとなったニーニャはツレの胸に顔を埋めて死んだふり。あー……。それでもなんとかお参りを済ませ、ひとつめでたい(鯛の焼き物つき)おみくじでも、と選んでいると、ニーニャがいちばん手前の列の端、いかにも朝からいちども回転してなさそうなところを「これ!」と指差す。そこしか届かなかったんだ。仕方なくそれを買って開けてみると、アイヤ大吉! 「娘のことを信じられなかった自分がちょと恥ずかしい」とツレに言うと、「ああそれすごくわかる」とのこと。とまれ、大吉娘が欲しいと買ったのに一口しか食べなかったチョコバナナ、金魚すくいは失敗しても金魚をくれるなんて殺生なと隣で遊んで失敗したけどやっぱり貰ったスーパーボール4つなどと、真っ赤な鯛が揺れる福笹を手に、しばし祭りを楽しみました。祈・(新)商売繁盛。

月曜祝日成人の日は、「タコ食べよう!」と、電車で30分弱の明石へ。魚の棚商店街の外れの定食屋で頼んだのは、ツレがタコ定食(タコ刺し、タコの柔らか煮、タコ飯など)、私がタコ飯と穴子天。さすがにうまい。ニーニャもうまかったらしい。私のタコ飯と穴子天とツレのタコの柔らか煮、見事にすべて半分ずつ完食。ヒョー。店を出ながら「あー腹減った。なんでかなー」と私が言い、ツレが「あれー? ご飯食べたのに、なんでママお腹空いてるんだと思う?」とニーニャに笑いながら問いかけたら、娘のテンションがにわかに下がった。泣きそうな顔して、うつむいている。慌てて「違うよ、おいしかったねえ、って言ってるんだよ。ニーニャがいっぱい食べてくれたから、パパもママも楽しかったんだよー」とフォローし、でもやっぱり空腹なので今度は明石焼の店へ。ニーニャ、これもぺろりと3つ食べた。そしてから揚げ串も丸ごと1本。てーしたもんだ。てなわけで、遊びっぱなしの3連休でした。


大切な友だちで、スペイン在住の佐伯夕利子ちゃんが、最近のニーニャの写真を見て「なんだか表情が穏やかになったね、輪郭が柔らかくなったっていうか」という意味のことを言ってくれた。さっき、ニーニャの1歳のときの保育園の先生バネッサが編集してくれた当時の写真を見ていたツレが、「俺さ、『太陽と月』保育園の頃のニーニャ、ぜんぜん知らないんだよ」とボソッと言った。きっと、そういうことなんだろう。なんせこのとこなんだか毎日、すごく楽で、楽しいです。問題は、いまのところまったく収入の算段が立っていないこと……って、毎週同じこと書いてるぞ。どうしよ。