キミは悪くない

いきなりだけど、人の一生の間で、何度くらい盗難もしくは詐欺の被害にあったりするのだろうか。傘を取られたとか、友達に貸したCDが返ってこなかったとか、そういうのでなく、警察沙汰、もしくはそれに近い被害として。私は40年あまり生きてきた間に、置き引きと取り込み詐欺の被害にそれぞれ1回ずつあっている。この回数が多いのか少ないのかよく分からないのだけれど、この2回の経験から学んだことは多い。


その中の一つが、被害にあった本人(この場合私)の周囲の人たちの反応だ。被害にあったことに対する同情や慰めよりは、そういう被害を招いた不注意さが非難されることのほうが多い。「何でそんなところに大事なものを置いておいたのだ!」とか「だいたい、世間を知らなすぎる!」だとか、「もっとしっかりしなきゃダメだ」とか。


そりゃそうなのだ。不注意だったのは、世間知らずだったのはこの僕なのだ。そのことは、十分反省しているのだ。だけど、オレはそんなに悪いのか?ってことだよ。一番悪いのは、勝手に持ってちゃったヤツだし、信頼を利用して騙したヤツの筈だろぉ。なのに「人が良すぎる」とか「甘すぎる」とか言って責められなきゃいけないのか? 僕はいろんな人から怒られたけれど、盗んだ当人、騙した当人に対して怒ってくれた人はいなかったんだよ。人に対する信頼を裏切られて凹んでいる人間に対して、「人を信用したのがいけない」的に非難されると、その被害以上に被害者を傷つける。
もちろん、わかっているのだ。「そんな被害にあってほしくない」という、愛あればこその発言なのだ。


今僕は、被害者の立場として書いているけれど、こういう“筋違い”非難は自分でも無自覚にやってしまっている。ニュースを見ながら「だいたい夜遅くにそんなところをひとりで歩いてちゃいかん」的なコメントすることあるもんね。不注意は一つの落ち度かもしれないけれど、一番悪いのは、人を傷つけるヤツ、盗むヤツ、騙すヤツなのだ。これは絶対そうなのだ。



だから、キミは悪くない。どんな事情があるにせよ、キミの財布をもってっちゃった人、その人こそが一番非難されるべきなのだ。図らずもキミを傷つけてしまった周囲の人の発言は、キミを心配してのことだと思ってほしい。ということで、ちょっと元気を出そう。



さてさて、閑話休題。うちの初々さんは、明日(9/2)(もう今日だけど)大学院の試験があります。とっても優秀な人なので多分大丈夫だと思いますが、その実力が十分発揮されますように、みなさんお祈りちょうだいませませぇ。 (←昨日の深夜、さだまさしの顔を見たせいだ)


オット初々