月影先生によろしく

オムツ外しスタートから10日。出産や授乳と同じで、体験する前はなんにも想像できない「すごく難しそうなこと」だったけど、やってみりゃ「当たり前に、なんとかなるもの」だった、ようです。

「尻を見ると、尻を欲しがる」という言い回しが、スペイン語にある。ニーニャ(2歳7ヶ月)も、盟友ディエゴがやることなすことなんでも真似する。先々週の日曜、事情があってニーニャを一日中ディエゴ宅で預かってもらった。どうもそのとき、だいぶ彼の「尻」を見たらしい。その後何度か、「ちー、する」と、オムツを脱ごうとすることが重なった。折しも夏。失敗したところですぐ乾く。逆に、夜も室内温度32度という暑さで、オムツがあたるところにあせもができてしまった。いいタイミングかな?

保育士のロレナ曰く、最初はこちらで頃合いを見計らっておまるに座らせる「タイミング法」でいくらしい。中庭で遊ぶ前、遊んだ後、食事の後、昼寝の後など。本人に「おまるに座る?/チーしたい?」と訊くと「ノー」と答えるが、ともかく座らせてみるのだ、と。なので家でも、起き抜け、帰宅後、外出前、お風呂前、と同様にやってみる。成功率50%くらい。2日目は、ちょっと台所に行って戻ると、ニーニャの後ろ姿がきばっていた。慌ててパンツを脱がすと、ウン○の半分はパンツの中に、残りの半分は無事おまるに。かくして、成功率50%を見事にキープ。


「一度オムツを外したら、二度とオムツに戻してはいけない」って、聞いたこと、ない? たしかに月影先生も、劇団に入ったばかりの北島マヤの母親が送ってきた小包を燃やしたが。それで3日目、公園に行くのにパンツを穿かせた。当然、外で「ちー」という展開になる。ディエゴ御用達の木の根元でパンツを下ろし、後ろから抱っこしてみるが、私が緊張しているし慌てているのが伝わるのだろう、「できない〜」と半泣き。こうして我慢した結果、帰りのスーパーの中でジョビジョバに。本人も大泣き。私もテンパイ。ここに至ってようやく、「いや、オムツ外すのに、そこまですることないよな」と思い直す。

ということで日曜、終日プールに行くことにしたので、オムツを穿いてもらった。なので二度目のちびっこプールで急に出たウン○は、無事にオムツ水着にキャッチ。パンツでも乗り切れたのかもしれないけど、トイレも木陰も遠いプールでは、私の方が自信なかった。べつに「早く外す」とか「失敗は後戻り」とか「いまから高い山に登るのに、後ろに暖かい家が見えていたらどうですか!!」(月影先生。うろ覚え)じゃないんだから、本人とこっちがいちばん楽なのでいいんだよねー。というのが、どうにも頑張りきれない私の落としどころでした。


そして1週間が経った今週。突然、「ちー、でる」と事前に教えてくれるように。おー。これまでは大半が、事後報告だったのよね。この変化にロレナも「来週からは、本人が座ると言ったときにだけ、おまるに座らせるようにしましょう」と言う。まあでも、これもそこそこに、やるつもり。私は月影先生じゃなくて、母親役だから。

最新情報。昨日、本人の希望で、ついに公園にパンツでおでかけ。帰りにツレと合流し、思い切って寄ったバルで、「ちー、でる」。きた! まだ、外での成功例なし。ハッシと抱きかかえ、大人用トイレへ。洋式便座(当たり前だ)のフタを開け、後ろから抱っこしてみるが、やっぱり「できない〜」。しかし猶予はない。試しに便座に立たせてみると、意外に安定している。本人も安心したのか、きれいな放物線を描いて、ちーが出始めた。女の立ちション……。飛沫が便座の端にかかるのを「いーよ、ママがきれいきれいするから」と安心させようとすると、本人がぐいっと腰を落として角度を調整した。すげえ。「できた!」 そうだね、できたね〜。これで、次からおでかけも一安心だ。なんか、ひとつずつ人間になるなあ。