透けたまま

 あれよあれよと7ヶ月に突入。どこからどう見ても立派な妊婦になりました。ヒコよりもずいぶん動いたり蹴ったりするので「ポンコちゃん」と呼んでいます。ちなみにヒコは、腹の中にいる男だったので「はらおくん」でした。わりとおとなしくて「腹の中にいる」というくらいの存在感だったんです。だからきっと、物静かな人だと思っていたのですが、ワッハッハ。それでいけば今回は「腹の中で活発→出て来たらおとなしい」という期待も持てますが、ヘタな期待は命取り。おなじ親の子ですから「ヒコ並み」にパンチの効いた人がやってくると思っていてちょうどいいと覚悟しております。
 それにしても、前回(それでも34だったが)より5歳オバハンになった体には、腹ボテ生活が、なかなかこたえます。腰は痛い、尻はこる、足はつる、眠いわ食えないわ、でも油物が食べたくなっちゃって食べたら吹き出物ができるわ、いわゆるマイナートラブルのオンパレードで、「産卵後のシャケって、ボロボロになって流されてるけど、わかるなぁ…」と思います。「若いうちに産んだほうがいい」っていうのは、ある一面では、とっても正しいな、と。
 でも、この歳で腹が大きいからこそ、ポンコさんに対して、しみじみとした気持ちにもなります。ヒコの時よりも、それは大きいです。よく言われる「うちに来てくれてありがとう」とか、そういうんじゃないな…なんだろう…もっとおなじラインに立ってる感じ。なんのラインだ、って聞かれたら…なんだろう…。ヒコの時は初めてだったし、わけもわからなかったし、強烈な人だし、時に「対峙している」と思ってしまうことも多かったのだけど、今回はもうちょっと「向き合い」すぎることをやめて「並んで」みようかな、できそうだな、って感じです。
 いや、並ぶ…とも、やっぱり違うかな。(「考えてから書け!」という声が聞こえてきそうですが、それは高齢妊婦の思考回路ってことでご勘弁)
 自分とか、子どもとか、子育て、とか、そういうもののあいだにあると思っていた輪郭や境界線が、ちょっとぼやけてる感じかも。対峙したり、克服したりしなくちゃならないと思い込んでた「固まり」が、実は透過性のもので、流動体なんじゃなかろうか、というような。物質も、分子だか、そんなレベルでは、そうなんですよね、たしか。ザーザーといろんなもんが通って行ったり、入れ替わったりしまくってるんですよね。

 なんだかわけがわかりませんが、こんなふうに、妊婦ってよくわからないです。自分でも、自分がどっかに透けてる感じがします。だけど決して悪くない感覚。この感覚のまま産んだり育てたりできればな、と思ってます。