刺身食わせろ〜!

 この一か月以上、ずいぶんくぐもっておりました。ほかにも理由はあったんですけど、なんせぼんやりするわ、本は読めないわ、文章は書けないわ、好きなものは気持ち悪くて食べられないし、でも日に日に太るし。
 …ということで。
 4か月目に入りました。
 ひょえ〜。まさか40目前でもうひとがんばりすることになろうとは思いもしませんでしたが、とにかく「謎の人」がやってきたようなのです。年も年なので、最後まで安心できないのかもしれないですけど、いちおう、来年5月に出現の予定です。この人が二十歳になる年、私は還暦を迎えます。成人式の記念写真には、赤いちゃんちゃんこを着て写るのでしょうか?
 そんな先のことは置いといて、今回はヒコの時とあれこれ違っていて、生まれる前から「人それぞれ」ってのはほんとなんだな、と思います。まずはなにより「つわり」が違う。ちょくちょく読みふける野口整体の本では、もともとつわりっていうのはなくてもいいもので、受胎によって広がろうとしている腸骨が、腰椎五番のねじれかなんかでつかえていて、その結果神経を迷走させたりなんだりして起きているのだというのです。これでいけば、ある時期からつわりが治っちゃうのは、腸骨が障害を乗り越えて広がりきれたということなのでしょうか。
 真相はさておき、今回はけっこう気持ち悪いです。何回か吐きました。そして腰回りが不調。だから「腸骨云々」は正しいのかもしれないし、腰を押してもらうと楽になることが多いのですが、身近に野口整体の人もいないし、腰椎五番を調節してもらう機会もなく、なんとかやり過ごそうとしています。ヒコの時は、トンコツラーメンと芋焼酎を受け付けなくなっただけだったのですが、今度の人はなかなか難しい。いつもは大好きなものが、けっこうダメになりました。なんといってもせつないのは、魚。長崎育ちの魚食いとしては、人生にこんな時が来るなんて、もう、びっくりです。刺身も焼き魚も、ぜんぜん食べてない。焼き魚はともかく、「刺身は飲み物」を標榜していたというのに!お酒もヒコの時は我慢して飲まなかったのが、今回はむしろ飲めない。「刺身をつまみながら酒を飲む」という、私の大いなる幸せタイムがすっかり瓦解しております。ほかにも、小さいころからの大好物・焼き鳥。これは焼き魚とおなじで「香ばしい焦げ」がダメ。「死ぬ前に食べたいもの第一位」の「小海老のゆがいたの」も、くつろぎタイムのおともであったコーヒさえもノーサンキュー。こうなると自分のアイデンティティすら怪しくなってくる気がします。刺身も焼き鳥もゆがいた海老も食べず、お酒もコーヒーも飲まない人間が、いったいぜんたい「自分」なのだろうか?「あなたがどんなものを食べているかであなたという人間がわかる」というようなことを言ってたのは誰だったっけ?そんじゃもう、私など、どこにもいないではないか。
 かといって、さっぱりしたものを好むかというと、そうでもなし。和食や野菜たっぷりのヘルシー系料理に、ちっとも魅力を感じない。たくさん食べられるわけではないんだけど、食べたいものは…ソースたっぷりの粉ものとフライ、うどん。海老もフライならウエルカム!一度、外で食べることになったとき、何が食べたいかと悩んで「これしかない!」と思い当たったのは「CoCo壱のチキンカツカレー」でした。しょぼん。お刺身も、肉系は食べられます。ステーキも焼肉もオッケー。ええ、喜んでます。我が家の肉食系男子たちは。

参考写真
先日の宴。ホッチキスさん家にて。

写真が横倒しの上、あまりに茶色すぎて料理の境目がどこかわかりません。
手前から「唐揚げ」「ラードたっぷりチャーハン」「ホルモン炒め」です。(ほかに鶏の砂ズリ刺やソーセージなどもあった。しかもこの日の昼は焼肉。次の日の夜も焼肉!)

 しかし、前回も思ったんですけど、私に限って言えば、つわりって「日頃とり過ぎてたものを抑えて体を調整」してる気もするんです。なくてもいいけど、この程度なら、まぁ、おもしろがれるというか、いろいろ見つめなおすきっかけにはなるような。いつも行くコーヒー屋さんでライムスカッシュなんて飲んだりして、ちょっと妊婦っぽいです。

 そんなこんなで、ふたたびがんばることになりました。「ひょっとしてこれは…」と、検査薬でも買ってみようかと思った朝、ヒコが突然、照れたように笑いながら私を見上げて「おかあさん、あかちゃんうまれるよ」と言ったのが、いまんとこ最大のおどろきです。