海はどこ?

supply72009-06-17

ごぶさたしました。12日間の早めのバケーションから帰ってきました。冗長な報告、お許しあれ。

前半は、「みんなが大好き」あのネズミーランドinパリ滞在。2歳半のニーニャへの「お礼」のつもり。というのはウソで、やっぱり私たちが好きなんだろうな。翌日、ランド内のホテルの朝食に向かう途中でいきなり主役のネズミーに遭遇。早くごはんを食べたい娘をなだめすかして列に並んで記念撮影。食後、今度は犬の擬人化された方(○ーフィー)に遭遇。早く部屋に戻りたい娘をなだめすかし、列に並んで記念撮影。できあがってきた写真は、満面の笑顔の親に抱かれて、ひでえ仏頂面の娘。あー。

その後も、ランドのそこかしこでネズミーの彼女やダックちゃんたちに遭うたび、「ほら、行っておいでよ!」と人込みの中に押しやられる娘。元来が人見知りの娘にはそれが耐えられなかったらしく、ついに早くも2日目の午後、「○ッキー、もういい!」と衝撃発言。以降は愛想を振りまくキャラクターを見つけるや遠くからガンを飛ばしてから走り去る、という謎の展開に終始し、ほうほうのていで4日間の滞在を終えました。そこらで売ってる「○ッキーのふうせん」くらいで、ちょうど良かった模様。



第二の行き先は、カステジョン地方の小さな町。マドリードからバレンシアまでの約350kmを車で4時間、そこから地中海岸を北へ、バルセロナ方面に約150km。ビーチ沿いのプールがあるホテル。第二の旅の目的は、内陸生まれのニーニャの、初泳ぎ! ……いやこれも、海沿い育ちの親が行きたいだけです。マドリードはヨーロッパ唯一のステップ気候なんじゃよ、ケッペン先生によると。というわけで、慎重を通り越して怖がりのニーニャを「おっきいお風呂だよ」とプールに入れ、「おっきい砂場だね!」とだまくらかしてビーチに誘う。親ってなんだろう。

いろいろありつつも海辺を満喫した最終日、見納めにビーチへ。「海、見える?」 娘、なにかを探している。いや、目の前いっぱいに広がってるの、それ海ですがな。「あ、うみ、いた!」 急に目を輝かせて指差した先には……群がるカモメを引き連れた、漁船。「あれは『船』だよ。海はこれ、これぜーんぶ海」「わ! みっつ、うみ、いっぱいいっぱい!」 見れば、もう一艘が漁から帰ってきたところ。そうだ、「ふたつ」も、何度訂正しても「みっつ」って言うんだよね……。


(海はどこ?)

たしか内田樹師匠の話で、「地図の中の文字探しクイズ」というのがあった。ふたりの片方が地図中から選んだ地名を言い、もう一方がそれを探すもの。最初はみんな、できるだけ小さな文字を探す。北海道ならンペペサンケ山(うろ覚え)とかね。そのうち、このクイズで最も効果的なのは、地図全体にわたるような地名だということに気づく。たとえば「ユーラシア大陸」とか。人間、自分で勝手に決めた枠以上のスケールのものを認識するのは、なかなか難しいらしい。

内陸に生まれ育ったニーニャにも、だから「海」が見えなかったのかもしれない。絵本の海、テレビの海、それらはみんな指し示せる。「あ、鳥さんだよ、見える?」と同じ言い方で大海原を指差した私を見て、ニーニャはなにか指差せるものを探したのだろう。そしてそれが、船だったのだろう。笑え……ないなあ。昨日は久しぶりの夫婦喧嘩。ああしかも禁断の、「娘の前」で。カアチャンは指し示せない広大な愛を見失っていたのだと、まあそういうことにしといて、今日は仲直りするよ、ウン。