愚か者の愉楽 Le plaisir du fous

仕事をしだして、「やはり男は外で働き、女は家に入って家を守る」ことこそ理想だと思い出した。子育ても、家事も、男のやることじゃない。女の仕事だ。

・・・と、たぶん他ならともかくこのブログでは絶対書いてはならないことを書いてみた。すみません。単なる悪い冗談です。この21世紀では4月全部がエイプリルフールです。いまホッチキスが決めました。

確かに仕事に行き始めて子どもたちと接する時間も減った。たとえば保育園の先生たちとのコミュニケーションについては現在ほぼ皆無といっていい。
以前は送り迎えもほとんどやっていたので、その度に先生たちから子どもの一日の様子を聞いたり、ほかの子と仲良くなって一緒にブランコになったり、ジャングルジムに登ったりしていたが、そういう交流ももはや皆無だ。

だが、世の中の父親のデフォルトなんてこんなものなのではないだろうか。それが良いと悪いとか言う無粋な話は置いといて、ぼくの場合、無性にあの保育園でぼっちゃんや他の子たちとブランコにのっていた頃のことが懐かしい。雲ひとつないウダルような暑さの夏の日。そんな一日も終りに近づき夕日は血のように赤い。ランニングやTシャツの子どもたちはみんな汗ビッショリ。でも足元は長靴。そいつらのブランコを押したり、自分も乗ったりしながら、だんだん暗くなる空を見ていた。

退行願望?もしかしたらそうかもしれない。でも、世の中のお父さんたちはあまりも忘れてしまっている気がする。ブランコという振り子運動での速度ゼロ地点における無重力感を。ゆられている自分の身体が風を切る音を。頬にぶつかる風の冷たさを。そして何よりブランコの愉楽を。

そんなことを知ってるからどうなんだと聞かれたら、「別に。とくに意味なんて無いですよ。」と大げさに肩をすくめて僕は答えるだろう。ほんとうにそうだ。特に意味なんて無い。そして、こういうことを人に教え広めようという使命感なんてものがあるとしたら、僕は一目散に、でも後ろ足で砂をかけることを忘れないようにしながら逃げ出すだろう。だって、あんなに意味もなく楽しいことを他人に教えるのなんてもったいなさすぎる。