カマキリのお告げ

 秋の風が吹いてくると、自動的に出産前後のことを思い出します。私は秋風だけど、これが春風の人もいれば、しとしと雨の人もいれば、吹雪の人もいるんだろうな。産む2〜3週間前くらいからは、なんとなく眠りが浅くなって、朝焼けの街をよく見ていました。産んだ日の朝もやっぱり朝早く目が覚めて、いわゆる「おしるし」ってやつが到来して、「うーん、でも、これから2〜3日間がある人も多いって言うし」と勝手に受け流し、久しぶりに会う人とランチを食べながら「おしるし、来たんですけど」「え〜!じゃぁもうすぐだよ〜」なんて会話をして、ぼんやりCDなんか買ってたら、なんだかどんどん意識がくぐもってきて、どう言えばいいんだろう、体の中にグワーッと暗雲立ちこめるっていうか、そんな感じになってきて、あれよあれよと、その夜中に産まれました。ランチを約束していたお店に向かう歩道橋で、お腹の大きなカマキリがいたのをよく憶えています。「いやぁ、まだまだ」と、頭の表面では思いつつ、しかし「彼女」が目の前に現れたとき、どこか見えない誰かから「いよいよだよ」って宣言された気がして、小さい覚悟をしたような。
 その数ヶ月前、お腹が大きくなり始めたくらいだったか、夢を見ました。シャボン玉の表面みたいな、いろんな色に光る流動体のようなものに取り巻かれて、それがキューッと固くなって、クリスタルみたいになって腹に収まるんですが、その、固くなるプロセスで、金色っぽい部分だけは、私の方にお裾分けとして定着するんです。…いかにもいろいろ解釈できそうな夢ですけど、まぁ、そんなこともありました。

 今日は…今週は、ヒコと少々歯車が噛み合わず、いささか疲労の色濃く、現実レベルでは書くべきことを思いつけなかったので、あやしい話を記してみました。そうそう、内田先生に関しても不思議なことがあって、出産後、いつも読んでいるような本やHPなんかを、身体が受け付けない、って感じで読めなくなったんですけど、内田先生の本だけは、なぜか読めたんです。あれは不思議だったな…。これまた理屈を付ければ付けられるんだろうけど、まぁ、そんなこともありました。