肉を切らせてカレーパンを食らう

この頃、彼のなかで流行っているのかわからないが、車中のチャイルドシートでオシッコをしてしまうぼっちゃん。先週は2日で3回チャイルドシート放尿という記録までたたき出した。もちろん僕がトイレに連れて行き忘れたことも原因のひとつだが、「どう?車に乗る前にシッコいっといたら?」と聞いたら「いや、出ない」と答えるので乗せると、車が走り出したとたん「シッコ出た〜」と言うぼっちゃん・・・。なんかあれだな、『ファイブスター物語』の冒頭で、黒騎士相手にレッド・ミラージュで戦う名前は忘れたけどその戦争が初陣で、にもかかわらず伝説の黒騎士に出くわして数日間戦い続けて最後に装備や装甲を全部捨てて肉を切らせて骨を絶つ戦法にうってでた騎士の「この汗とションベンにまみれた操縦席もどうにかしたいしな・・・」というセリフを思い出した。
車の中ではないが、ある日、保育園から帰ってくると僕がトイレに行きたくなって「うわっ、シッコ出るっ」とトイレに駆け込んで、用が済んで出てみると、台所でぼっちゃんが「シッコでた・・・」と立ちすくんでいた。あれはやはり親子という似通った生体リズムを持つ者同士のシンクロシニティだったのだろうか?それとも、僕がぼっちゃんの放尿への欲望を無意識に受け取り、無意識のままに本当に自分の放尿への欲望に書き換えたのだろうか?
いや、そんなことはどうでもよくて、ぼっちゃんがまだ生まれたばかりで病院にいた頃、僕はぼっちゃんがしたウンコ(まだドロドロの液体だったな)を拭いて、オムツを換えた後、小腹がすいたので近くのパン屋に言ってカレーパンを買って食べたのだった。ぼっちゃんのウンコ処理のあと、手も洗わずカレーパンを食べたことは、そういえば何回かあった。「汗と糞尿にまみれて・・・」というとプロレタリア文学か収容所文学っぽい臭いがするが、きっと親になるとは、そういうことでもあるのだ。たぶん。いやちがうだろ。