DONBURI MIND!

「母は強し」ってよく言いますけど、特に初めての子どもに関しては、すごーく弱い気がします。弱いっていうか、わかんないからオロオロするし、目の前にあるのは、自分の判断の誤りが生き死にに関わってくる、ホニャラ〜とした生命体。自分一人のことだったら「まーいいか、腹こわすのは自分だし」で済ますけど、赤ん坊のことになると「あれも消毒なら、これも消毒かしら…」と泣きかぶる仕組みになっています。育児雑誌も周りの人も、だいたいが「脅しをかけて物を買わせる」とか「自分の正しさを思い知らせる」ことが先行してしまうので、事態は深刻になるばかり。「このポイントは押さえたほうがいいと思うけど、あとはノープロブレム。ゆるんで行こ〜う!」って励ましてくれる人って、わりと少ない。母乳だってスリングだって、私はとても助かったし、後続の人にも勧めたいと思うけど、絶対に、絶対だってことは言いたくない。「合いそうならするといいよ。するんだったら、こうするとやりやすいよ」というスタンスを取りたい。
妊娠とか出産とか育児のことって、子どもっていう「人質」がいるから、「これが正しいんです!」ってことを、言いたい側は言いやすいし、言われた側は「そうしないと子どもに差し障りが…」とビビリやすい。弱ってる時につけ込む怪しい宗教みたいなもんだ。「このチャイルドシートじゃないと赤ちゃんは窒息しますよ」と「この印鑑を買わないと、ご先祖さまの祟りがありますよ」は、わりと似てるノリです。「腹出して寝る」ということひとつとっても、国が違えば180度言うことが違ってたりするし、母乳についてだって、一昔前と今ではいろいろ違うし、桶谷式なんて知らない人にとっては「肉食べちゃいけないなんて、厳しすぎっしょ」ってことだろうと思う。
…と、こんなことを言うのも、ネットでちらりと見たページに「赤ちゃんに冷たい飲み物をやっちゃいけない」というようなことが、かなり厳しい調子で書かれていて、まぁ、それはそれで、その人にとっては正しいよな…って読み流していたら、最終的に「冷たい麦茶を飲んだ子は殺人犯になる」という恐ろしい結論に至っていたので、も〜、人を脅すのもいい加減にしろよな〜、と、いうことで、「とにかくいちいち気にすんな、あいつらが言うほど赤ん坊は弱くない」と、私だって、声を大にして言いたいのであります。
あとは、「悪い」とされることにまつわる、見えない効用をもっと評価したいということ。コーヒーが母乳に良くないと言われても、私は飲んでおりました。だってコーヒーを飲む時のリラックス感は、私にとっては、コーヒー以外のものでは代わりがきかなかったから。そりゃー、コーヒーを飲まずにリラックスする「100%」な状態がいいんでしょうけど、「ママがリラックスすることが大切です」と「コーヒーは控えましょう」を天秤にかけて、65%、リラックスに針が振れてるから、トータルではいいってことじゃん、という方針にしました。
正しいことって、育児関係に限らず、それを守るのに、けっこうストレスかかるんですよね。だから、いいんですよ。ドンブリ勘定で。「いつも心にドンブリを」。いろんな意味で、これが私の育児方針かもしれないです。